経営者としてビジネスをするなら、ライバルに戦いを挑み、必ずしも勝つことがいいことではありません。戦うことで保有している資源が痛んだり、失われ、勝ったとしても得るものが少ない場合があるからです。返って戦わない方がよかったのではないかと思うこともよくあります。某牛丼業界の価格競争などはその典型的な例です。
孫子の兵法の言葉に「百戦百勝は善の善なるものにあらざるなり。」というものがあります。どのような意味でしょうか?ざっくり解説すると、100回戦って100勝つのは、一見良さそうに見えるが、本当に良いのは「戦わないで勝つ」ことであるということです。
これを会社経営に当てはめるとどうでしょうか?ビジネスで戦闘にあたるのは「広告」「プロモーション」「キャンペーン」などだと捉えています。もっと広くとらえて「マーケティング」と考えてもよいかもしれません。
つまり、孫子の兵法に当てはめると、「戦わずして勝つのが最良」ですから、「広告」「キャンペーン」「プロモーション」などをやらないでも「儲かる」というのが最良ということです。
広告やキャンペーンやプロモーションをやり続けないと儲からない会社は危ういということです。ビジネス立ち上げ当初は「広告」に頼るのは致し方ないといえます。が、広告で集めたお客さんを放置するのではなく、一回きりの契約で終わらせるのではなく、ステップメールやニュースレター、はがきなどを送ったりして「ファン」になっていただき、「継続的」な取引をしていただくことが、まさに「戦わずして勝つ」発想です。広告なしでも儲かり続けるモデル、これこそまさに孫子の思想になります。
広告を出さないでも儲かり続けている会社の例の一つに「サイゼリヤ」があります。サイゼリヤは行ってみるとわかりますが、かなりおいしいにもかかわらずローコストなのです。なぜこんなことが可能なのか?疑問に思って調べたところ、「広告」を出していないそうです。広告費にお金を使うぐらいなら、具材や従業員などに使った方がいいとのことでしょう。これも、まさに戦闘なくして、勝利している考え方になります。
このように、本当に儲かる会社は、「広告」などの「戦闘」をしなくても、「勝つ」のです。もちろん、起業時や新規事業立ち上げ時は、なかなか厳しいかもしれません。でも、「最終着地点」を「そこ」に置くのです。「そこ」とは、戦わないでも勝てる状態です。広告などを出さなくてもお客さんがやってくる状態がベストになります。